みなさんは、間伐紙と呼ばれる紙を見かけたことがありますか? 最近では、国産間伐材の利用が多方面で促進され、少しずつではありますが、私たちの身の回りにも間伐材を使った製品が増えています。木の家、床材や家具、生活用品、燃料用のチップ、割り箸などなど。間伐材パルプを原料とする「間伐紙」を使った名刺やハガキ、封筒、ファイル、オフィス用紙、印刷物などもしばしば目にするようになりました。
さて、間伐紙と聞くと「間伐材100%で出来ている紙」と思いませんか? ところが実際は、国産間伐材100%の紙というのは市場に出回っていないのです(私の森.jp編集部調べ)。国産間伐材15%+古紙パルプ30%など、間伐材の配合率は10〜15%と意外に少ない。製紙会社によれば、「国産間伐材の安定供給が難しいから」とのことですが、パルプ・チップ材の自給率は僅かに12.6%(19年度 森林・林業白書)であるのを見ると、間伐材利用量が数字の上でも増えているとは言え、紙への利用に関してはまだ価格や流通面などにおいて、大きな課題があるようです。
私たちが使っている紙の原料のほとんどは、海外の森の木が使われているのですね。
※国産間伐材パルプだけで特別に作られた紙は存在するのですが、一般に市場には殆ど出回りません。
紙についてもう一つ。印刷物の裏側などに小さく「FSC」と書かれたマークが付いているのは、どんな意味があるのでしょう?
これは「FSC認証用紙」と言い、FSCの基準に従い、適切に管理された森林から切り出された木材を原料にした用紙であることを証明するマークです。FSC (Forest Stewardship Council、森林管理協議会)とは、適切な環境保全が行われて経済的にも継続可能な森林管理の推進を目的として、世界中の森林を対象に、信頼できるシステムで森林管理を評価・認証するものです。
そして、基準をクリアした森林から産出された木材・木材製品にロゴマークを付け、認証を受けた森林の産物であることを保証しています。FSCの森林管理認証を受けた森林は、2009年6月現在で世界82カ国、977カ所、認証面積114,408,742ha。日本は27カ所、認証面積282,982haです。
FSC認証用紙であれば、外国産材パルプを使用していてもその出自が明確であり、違法な森林伐採によるものではないことが明らかです。もちろん、国内でも。
自分で紙や紙製品を選ぶとき、また、企業や自治体などの発行する印刷物を手にしたときも、FSCマークや間伐材利用と書かれているかどうかチェックしてみましょう。紙の選び方一つにも、森への想いや未来に対する姿勢が表れるのですから。