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森林・林業白書を読もう!:平成24(2012)年版:復旧・復興に向けた森林・林業・木材産業の取組

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森林・林業白書を読もう!:平成24(2012)年版:復旧・復興に向けた森林・林業・木材産業の取組

平成24年版白書について

東日本大震災では、森林・林業・木材産業においても大きな被害が生じ、広い範囲の森林が放射性物質に汚染されました。農林水産省では、森林・林業の再生と震災からの復興を「車の両輪」に、森林・林業に関する施策を推進。平成24年版の森林・林業白書でも、特集章のテーマとして「東日本大震災からの復旧・復興に向けて」を取り上げています。

この特集章では、まず、震災による森林・林業・木材産業の被害・復旧状況がまとめられ、復興に向けた取組としては、海岸防災林の復旧と再生、新たな街づくりに向けた木材の活用、エネルギー安定供給に向けた木質バイオマス活用の3点、そして原子力災害からの復興について記述されています。以下に、それらのポイントをご紹介していきます。興味をもたれたら、ぜひ白書を読んでみてください。書籍でもPDF版でも手に入ります。

 

海岸防災林の再生

「奇跡の一本松」として復興のシンボルともなった、陸前高田のアカマツ。それ以前、高田松原は約7万本のアカマツ・クロマツが生育する海岸防災林でした。このように、東日本大震災の津波によって、海岸防災林は大きな被害を受け、青森、岩手、宮城、福島、茨城の6県で253か所、約1718haが流出・水没・倒伏などの浸水被害を受けました。

海岸防災林は壊滅的な被害を受ける一方で、津波被害の軽減効果を発揮した例も報告されています。青森県八戸市では、漂流した20隻以上の船が海岸防災林で捉えられ、背後の住宅地への侵入が阻止されて、住宅地は3m以上浸水したものの流出は免れました。こうした例は各地で見られ、津波エネルギーの減衰、漂流物の捕捉、津波到達時間の遅延など、海岸防災林の被害軽減効果が改めて見直される結果となりました。

現在、被災各県および各地町村では、政府の復興方針をふまえた復興計画が進んでいます。復興方針の中には、「沿岸部の復興にあたり防災林も活用する」と明記されています。海岸防災林の再生にあたっては、樹木の根をしっかり張らせる生育基盤として「盛土」を造成すること、盛土材にがれきなど災害廃棄物を再利用すること、樹種としては植栽予定地に従来自生する広葉樹も考慮することなど、いくつかの留意事項や、再生の将来イメージも掲載されています。

 
海岸防災林再生の将来イメージ

新たな街づくりに向けた木材の活用

地震と津波被害による建物の全壊・半壊は37万戸を超え、約5万戸の応急仮設住宅が建設され、その内の約4分の1が木造でした。従来はほとんどがプレハブ造により供給されてきましたが、今回の震災では地元業者が地域材を用いた木造仮設住宅建設に積極的に取り組んだことにより、コストや工期などの課題も解決されました。

また、今回の震災では、地震の揺れ自体による木造建築物の被害は比較的軽微であり、阪神・淡路大震災以降、木造住宅の耐震性が大きく向上したことが確認されています。政府の復興基本方針では、「津波の危険性がない地域では、災害公営住宅等の木造での整備を促進する」とあり、地域材を活用した木造復興住宅の建設に向けた取り組みが進んでいます。

新潟県中越地震における「中山間地型復興住宅」(長岡市山古志地域)

新潟県中越地震における「中山間地型復興住宅」(長岡市山古志地域)

木造復興住宅による街づくりのためには、まず、地域材の確保が必要ですが、東北地方における既存の木材供給体制では十分ではないと見られています。このため、東北地方のみならず全国において、「森林整備加速化・林業再生基金」の活用等により、「森林・林業再生プラン」の実現に向けた取り組みを加速させ、木材供給の強化を図ることが必要、と書かれています。

 

エネルギー安定供給に向けた木質バイオマスの活用

今回の震災では、約2250万トンに達する災害廃棄物(がれき)が発生し、この内の木質系の廃棄物については、木質ボードやボイラー燃料、発電等に利用されています。

林野庁は、震災復興や電力の安定供給の観点から、2011年6月「木質バイオマスのエネルギー利用に関する検討会」を開催。また、第3次補正予算では、木質系災害廃棄物や未利用間伐材等を活用する木質バイオマス発電施設や熱供給施設等の整備に対して支援を行うこととしました。

もがみウェルネスプラザの熱供給システム(山形県最上町)

すでに木質バイオマスが利用されている事例として、山形県最上町の間伐材の熱利用が掲載されています。保健医療福祉の総合施設で、木質チップを燃料にボイラーを燃やし、地域の各種施設に暖房、冷房、温水を供給し、年間1800万円の経費削減を実現できたという成功例です。

写真:もがみウェルネスプラザの熱供給システム(山形県最上町)

 

今後、被災地とその周辺において、木質バイオマスの活用を進めるための課題は、エネルギー変換効率の高い熱利用と熱電併給を新たなまちづくりと一体になって推進すること。そして、木質系災害廃棄物の処理が終了した後に、燃料を未利用間伐材等にスムーズに移行させるため、地域における施業の集約化、路網の整備、林業機械の導入等により未利用間伐材の安定供給体制を確立すること。

被災地におけるモデル的な熱電併給の成果を踏まえて、全国に同様の取り組みが普及していくことが期待されると、書かれています。

 

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